建築設計事務所KADeL

Menu
  1. HOME
  2. ブログ
  3. 【住宅の豆知識】地震対策、耐震、構造のお話 ~制震工法~
【住宅の豆知識】地震対策、耐震、構造のお話 ~制震工法~
公開日
2024-8-27 09:00

地震対策としての構造・工法は「耐震工法」、「免震工法」、「制震工法」の3つに大別されますが、今回は「制震工法」を中心にそれぞれの構造について特徴やメリット・デメリットなどを紹介します。

 

 

「耐震」は建物を強く頑丈にする構造

耐震は、建物を頑丈にする事で地震の揺れに耐えようとする構造です。柱や梁を太くしたり、壁(耐力壁)を増やしたりすることで、揺れに耐え建物の倒壊を防ぎます。後述する制震や免震の効果がしっかりと発揮できるようにするための基本構造となります。建築基準法では守るべき耐震基準等が定められており、現在建てられている住宅は最初から耐震構造が採用されています。耐震構造は地震の揺れが直接建物に伝わるため、大きな地震の時は激しい揺れを感じますが建物自体は倒壊しないだけの強度を持っています。

 

「制震」は制震装置を使って揺れを吸収する構造

制震は、建物内で地震の揺れを吸収する構造です。建物の内部にダンパーなどの制震装置を設けて地震による揺れを小さくします。制震は免震とは異なり、建物と地盤が切り離されているわけではありません。地盤の揺れは建物に直接伝わってしまいますが、ダンパーなどの制震装置が揺れを吸収し、その結果揺れが小さくなり建物を倒壊しにくくします。

 

「免震」は建物と地盤を切り離した構造

免震は、地震の揺れが建物へ直に伝わらないよう建物と地盤を切り離した構造です。建物が宙に浮いているわけではありませんが、建物と基礎の間に特殊な免震装置を設けることで、地震の力を受け流して建物の揺れを少なくします。免震装置が地震の揺れを吸収してくれるため、建物を倒壊しにくくします。

 

 

「制震工法」の特徴

KADeLでは、オイルダンパー(㈱プロジット「ウィンダンパー」)を用いた制震工法を標準採用しています。制震工法には、耐震構造のデメリットをカバーできる優れた特徴があります。

制振ダンパーには「ゴム系」「金属塑性」「摩擦系」「オイル系」の4つがありますが、オイル系ダンパーは他のダンパーと比較して「初期減衰力の充実」「施工性の良さ」「設置自由度が高い」「共振時の最大振幅を低減できる」といった優位性があります。

 

 

 

                                                     

  1. 地震の衝撃力を30~50%低減

オイルダンパーの特徴でもある「地震発生時のわずかな揺れから効果を発揮」し、地震の衝撃を最大約50%吸収します。耐震構造は、地震の揺れを抑制する効果はあまり期待できないため大きな地震の時は激しい揺れを感じますが、ウィンダンパーが揺れを吸収して建物内部の揺れを軽減するため、家具転倒や家財破損による二次災害を防ぎます。さらには耐震工法のデメリットである、繰り返しの揺れにも大きな効果を発揮します。

 

 

  1. 限界耐力計算で安全性を確認

ウィンダンパー設置に際しては、一棟ごとに限界耐力計算を行います。耐震診断の上補強計画書を作成し、数値をもとにした評価を行う事で根拠のある安全性確認ができます。

 

 

 

3.安心の品質(純国産)と20年保証

安心の純国産品で20年の長期保証が付与されます。新築住宅への設置を想定して60年の耐用年数を実現しています。その間ノーメンテナンスでも大丈夫なオイル、オイルシール等を特殊な構造、材質で構成し、100万回以上のストローク試験をクリアしています。

 

 

地震に強いお家づくりのために

 

 

地震に強いお家をつくるだけならば、真四角の総二階建てで、窓を小さく少なく最小限に抑えて壁をたくさん設ければ案外簡単に実現可能です。

しかし大きな窓がある広々と明るくて開放的なリビングでありながら、地震や台風にも強いお家づくりをするためには構造的な工夫が必要不可欠です。制震ダンパーは、耐震上弱点となりうる大開口や吹抜けがあっても地震に強いお家づくりができる先進の地震対策です。

設計者や施工者が耐震や制震それぞれのメリット・デメリットを理解し、それぞれに足りない部分を補うためにはどうすれば良いかを見極めながら、効果的に新しい技術を取り入れる事で快適性や開放感を損なうことなく地震に強いお家づくりができるのです。

 

KADeL 西尾真一

関西 大阪 注文住宅 建築設計