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【住宅の豆知識】清貧の美学 『足りない』から『足りている』 持たない暮らしのその先
公開日
2025-11-11 09:00

皆さん こんにちは建築設計事務所 KADeL黒瀬でございます

 

今回は 持たない暮らしのその先  「清貧」のお話しを私なりにしたいと思います

 

 

まず  「清貧(せいひん)」とは

単に「貧しいこと」を指す言葉ではなく、「精神的な清らかさや高潔さを保つために、あえて質素で丁寧な生活を選ぶ生き方や思想」を意味します。

 

つまり、「清貧」とは、貧しさを乗り越えるための精神論ではなく、物質に囚われず、精神的な自由と高潔さを選ぶ、意思を持った「生き方」なのです。

 

個人的には、こうした思想は建築デザインにも深く影響を及ぼすと確信しております。

具体的には、KADeLの建築作品の随所に、その清貧な美意識が表れています。

 

建築的清貧

内的な豊かさの追求と自然との共生

 

 

(KADeL作品)

 

・精神的な充足: モノや広さといった「物質的な豊かさ」ではなく、静けさ、落ち着き、自然とのつながりといった「精神的な豊かさ」を住まいの中に実現します。

 

・自然の取り込み: 建物内部に庭、空、光、風といった自然の要素を大胆に取り込みます。自然を「最高の贅沢品」と見なし、人工的な設備に頼らずとも、四季の変化や時間の移ろいを感じられる空間を設計します。

 

・謙虚な姿勢: 建物が周囲の環境や歴史に対して傲慢にならず、自然の一部として存在することを目指します。これは、日本の伝統的な茶室、あるいは、個人的に傾倒する鴨長明の『方丈記』に描かれた「方丈の庵」は、私にとってのひとつの理想像です。

 

しかしながら、その境地に至るまで潔く、すべてを削ぎ落とした建築を実現するには、なかなか容易ならざる難しさがあると認識しております。

自然と共存するシンプルな生き方への憧憬とも通じます。

 

 

暮らす

「清貧(せいひん)」を具体的な「暮らし」の中に落とし込むと、それは「物質的な制約の中で、精神的な充足と、自然で倫理的な生活を意図的に選択するスタイル」となります。

 

これは、単なる「節約」や「貧しい生活」ではなく、自分の価値観に基づいた「賢い選択」の結果としての、心地よいシンプルライフです。

 

ミニマリストほど極端ではない、程良い「清貧な暮らしぶり」は、物に溢れすぎた現代人にとって、新鮮な暮らしの提案ではないでしょうか。

 

個人的には、日本人の感性に深く寄り添う、極めて美しい生き方だと感じており、私自身もこの清貧な暮らしに近づけるよう、日々、生活を営んでおります。

 

注文住宅を建てる際には、どうしても「あれもこれも」と足し算で機能を加えがちですが、「建築的清貧」を意識して引き算で考えてみるのも一考かもしれません。

 

ちなみに、私が居住する住宅には、取り付けられた機械的な装置は、基本的に給湯器しかありません。電化製品も最小限に抑え、日々の米は鋳物ホーロー鍋で丁寧に炊いております。

 

日々の暮らしにおいては、衣食住にまつわる品々を必要最小限にとどめ、清貧の精神を旨としております。

 

しかしながら、我が家の子供たちは、現代の価値観に基づき、物の豊かさや利便性を自然に享受し、その生活空間は、私の思想とは対照的に常に余白を持たない部屋はぐちゃぐちゃ状態にあるようです。(涙)

 

さて

私の朝は、少しだけ早く起きて、一日を大切に迎えることから始まります。

 

静かな庭にそっと出てみると、朝の光がやさしく差し込み、冷たい空気がピンと張り詰めているのが心地よく感じられます。まだ誰も踏んでいない庭で、落ち葉や小さなごみを掃き清めるのが日課です。この手間ひまを惜しまない時間こそが、私の清貧な暮らしが生む最初の贅沢です。

 

新鮮な空気をそのまま家の中にも招き入れたら、次にお香を焚いて、心を落ち着かせる香りをゆったりと広げます。

 

そして、この穏やかな時間の中で、一番の癒やしが待っています。

 

そう、我が家の「小さなお殿様」  愛猫が、お香のいい香りに包まれながら目覚めるのを待って、朝ごはんを用意する時間です。その気まぐれだけど、とにかく愛らしい姿をぼんやり眺めていると、それだけで心が満たされ、何にも代えがたい豊かなゆとりを感じるのです。

 

 

(ぐっすり寝ています)

 

高価な物に囲まれるのではなく、「時間と手間」を惜しみなく注ぐ。こうして誰にも邪魔されない、ゆったりとした、満ち足りた朝のひとときを大切に過ごしています。

 

住宅のお引き渡し後も、こうした「清貧な暮らし方」を意識して日々を重ねていくのはいかがでしょうか。

それは、本来の日本人が持っていた、慎ましくも豊かな感性に合った暮らし方なのかもしれません。

 

今回は 私なりの「清貧」をテーマにお話しました。

いかがだったでしょうか?

お家づくりの参考になりましたら幸いです

お付き合いいただき ありがとうございました。

 

次回は 影に秘められた豊かさ  住宅建築に見る「陰翳礼讃」をテーマにお話しします。

 

建築ってほんとに良いものですね

それでは皆様 次回ブログでお会いしましょう!

 

KADeL 黒瀬信幸(副社長/建築家)

 

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