皆さんこんにちは建築設計事務所 KADeL黒瀬でございます
今回は 「建築の線」のお話をします
テーマは3つに絞ってお話ししたいと思っています
①線を少なく考える
建築のファサード(外観)デザインや内部空間を考えていると ふと気を抜くと線や影が多くなってしまいます
いかに 線や影を減らして ノイズを取り去るか この作業を一本一本丁寧にしていくことで 建築の出来栄えが随分変わってきます 非常に頭を使い時間がかかる作業になります
ここで諦めてしまうと 「普通の家」になってしまうのです
例えば ファサード(外観)です 4枚の写真を見ていただけるとわかりやすいかと思います
無駄な線を一本ずつ 設計段階で少なくすることで ファサード(外観)の印象がとてもすっきり軽やかで上品になります 線を揃えるのも大事です
1枚目の写真では2階部分もノイズと捉え 道路面から見えない様に工夫しています そのため一見すると平屋のように見えます 1階部分も窓や凹凸など無駄な線を極力取り除いて土壁を模した赤茶けた壁面1枚と大きな庇で抑え込んだようなファサードとしています 簡素で安定感がありとても美しく仕上がっています
まさに「装飾は罪なり」です
2枚目 手前の低い格子に視線が向く様に設計して 奥の建物全体が記憶に残りにくい様 ノイズを抑えスッキリと収めています
ちなみにこの縦格子の数は108本あり 煩悩の数と同じにしています
3枚目 1階部分をコンクリート打ち放しで簡素に仕上げ とてもすっきりさせています 2階部分の蒼い金属の浮遊感が強まります
こちらの建築はお客様と合作 非常にこだわりがあり 非常にセンスも良い お施主様の住宅になります
4枚目についてもお隣(写真では少しぼかしを入れてわかりにくいですが)と比較しても線の少なさがお分かりになると思います
簡素の中に美を求める そんな日本人の美意識を象徴するような上品でとても美しい住宅となっています
内部空間も 同じく線を少なくすることで 美しい空間になります
1枚目の写真は無駄な凹凸や変な影の出る部分を極力抑えて非常に簡素でのびのびとした空間に仕上がっています キッチンの存在感やその背面にある木部が非常に印象的です 中庭から入る天空光もすがすがしく個人的には高く評価している美しい建築実例となっています
2枚目の写真は コンテストで最優秀賞を受賞した「想像の階段」
極限にまで無駄な線を取り除いた幽玄な 空間の中に 象徴的な立体物が印象的です
この階段は単なる 1階と2階を繋ぐ装置ではなく 住まう人の想像力で 様々な用途を持たせています
このようにKADeLでは 平面計画図では表し切れない 緻密な作業を入念に重ねながら 美しいファサード(外観)や内部空間になるように計画していきます
とても時間とセンスと根気の必要な作業となります
②どこまでも見通せる視線「見通し線」
見通し線とは あまり聞き慣れない言葉かもしれませんが KADeLでは設計段階で非常に重要視する線となっています どういう線かと申しますと 自分が立ってる目の位置から空間が直線上にどこまで見通せるか と言う線になります 遮るものがあってはいけません
上の写真7枚がいい実例となっていますので紹介させていただきました
要は敷地の中の長辺方向に最大直線または長辺対角線上に最大直線になるような線を仮定し その線の妨げにならないように平面計画図を展開していきます
そうすることによって実際出来上がった空間はとてつもない開放感や爽快感が発揮され 類を見ない空間に仕上がります
KADeLの住宅が他社と比べて広く開放感があり 光が奥の奥まで伸びて空間の印象ががらりと変わるのがこの作業です
最近 注目されている 歩かせる建築 ウォーカブルな建築にもなっています
言うのは簡単ですが設計すると非常に困難を極めます 他社ではなかなか検討してくれないような特殊な線だと思っております
当然 この見通しは外部へと繋げて眺望を取り込み開放感を出すことも可能となります
③日本の 「境界線」
内に閉じて外に開く 日本建築や京都の町屋などに用いられる建築手法です
KADeLの自宅にも日本建築の和の諸要素が取り込まれています
その中に 空間の境界を曖昧にして 空間の奥行きを表現する 様々な 中間領域を意図的に挿入させています
KADeLの実例と共に紹介してまいります
居間と縁側と土庇と庭
外と内の妙 中庭
天空光の恵み 中庭
光壁と庭と掘り炬燵
フラットなベランダと緑と空の借景
通り庭
軒下空間と借景(春)
広縁と深い軒下空間
内と外が中間領域によって曖昧になる これらの建築装置 細部のディティール にまでこだわってようやく完成させる KADeLの注文住宅
「建築の線」いかがだったでしょうか
簡単にはなりますが今回は建築の線の話をさせていただきました ご存知な事柄もあったと思いますが 皆様の注文住宅造りの参考になれば幸いだと思っています 最後までお付き合いありがとうございました
余談ですが 方眼紙にこのようなことを考えながら平面計画と並行しながら線を取り除く作業から始めるファサードデザイン 空間デザイン 見通し線 境界線などを どれもスケールアウトさせながら まとめていくと とても骨の折れる作業になりますが とても楽しい 慣れない方だと数ヶ月かかってしまうかもしれません 住宅検討時にご自身で図面を書かれている方 挑戦してみてはいかがでしょうか
余裕がある方は 空間シークエンスも考えながら書いてみるのも面白いかもしれません
私は 考えている時 楽しくて仕方がありません
※空間シークエンス
人が移動することで景色や空間が変化していく建築手法
※写真は全て弊社 建築実例
次回のブログは
ストレス住宅からの脱却「心休まるとは」をご紹介 致します
建築ってほんとに良いものですね
それでは皆様 次回ブログでお会いしましょう
KADeL 黒瀬信幸
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