建築設計事務所KADeL

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【住宅の豆知識】こんなもの付けてみました
公開日
2024-12-24 09:00

住宅には必ず付いているものがあります。

キッチン、バスルーム、トイレ、洗面化粧台、照明器具、コンセント、窓、給湯器などなど…

これらは快適な日常生活を送るためにも必要不可欠な装備として、ほとんどのお家に当たり前に付いています。

 

一方で特定の人にとっては必要不可欠でも、別の人にとっては無くても困らない装備もあります。

太陽光発電、カーポート、マイクロバブルシャワー、電気自動車用コンセント、書斎、ランドリールーム、ファミリークローゼット、防音サッシ、目隠しのための高い塀などなど…

 

その家や家族にとって必要な装備は、住まわれる方の趣味嗜好やライフスタイル、家族構成、職業、周辺環境、その家でどんな暮らしがしたいか、家族や他者とどのようにかかわりたいか等と密接に関係してきます。そして、そこに建つ家やそこに住まわれる家族にとっては必要不可欠でも、別の人にとっては無くても困らない事も往々にしてあります。

常識にとらわれず本当に必要なものを住まいに取り込みながら、唯一無二の住まいを創り上げることも注文住宅づくりの醍醐味だと思います。

 

今回は、そこに住まわれる施主様やご家族にとっては必要不可欠だったのですが、他の方にとってはおそらく要らないかもしれない「こんなものを付けてみました」な設計事例をご紹介いたします。

 

床がハンモック                                 

 

 

 

 

約20坪の敷地に建つ住宅です。所謂狭小地といわれるサイズですので、通常は色々な工夫で少しでもお部屋を広くするのが一般的な設計手法ですが、この住宅では大事な床をくり抜いてハンモックを付けました。2畳に満たないスペースですが「きっと子供が喜ぶので付けましょう」という事で採用していただきましたが、ご両親の思惑通りお子様は大喜びでした。下階から上で遊ぶお子様のも気配も分かり、ハンモック越しに自然光が降り注ぐ一石二三鳥の装備になりました。公園遊具を設計されている方に監修していただき下地の施工から金具の取付、ネット張りまで行う事で安全性も確保しています。

 

畳数は大きければ大きいほど良いという一般的な概念とは異なりますが、お子様の性格や好みを考えた結果畳数よりも面白味のある空間を選択された、お子様への想いが込められた装備です。ハンモックで使える床が狭くなった分、使えるスペースを最大限活用できるように勉強机や本棚、ベッド等をカスタムで製作したので使い勝手の良い子供部屋ができました。お子様が成長してお部屋を広げたくなった時には、ハンモックを取り外して床を組むことも可能です。

 

リビングに雲梯                            

 

 

 

通り土間に設けた雲梯(ウンテイ)です。子供の時に校庭にあった雲梯で遊ばれた方も多いと思いますが、それです。ブラックアイアンの一筆書き形状が硬質なリビング空間にリズミカルで心地良いアクセントを与えています。雲梯なので、雲梯として使うか遊び心を感じてもらう以外の使い道はないのですが、意匠性や強度、素材感など施主様、設計者、施工者が集まり大人達が真剣に向き合った遊び心です。もちろん普通に雲梯として使用可能なので、ご主人が健康のために活用すると仰っておられました。

 

リビングにバスタブ                              

 

 

 

リビングにバスタブ、しかもガラス張り。楕円形のバスタブ、大きさが異なる2灯のペンダントライトや自立式水栓が居住空間に非日常な印象を与えています。施主様が望まれるライフスタイルやインテリアイメージには必要不可欠な装備で、年中通して快適なバス空間を実現するために高気密高断熱仕様にして床下エアコンも導入しています。間接照明を仕込んだ天井にはロールスクリーンも完備しており、床も防水処理をしているので来客も安心して使用可能です。見えない所にシャワーブースを併設しており、通常このバスタブは使いません。このバスのメインの目的はリビングの空間演出であり飾りです。

 

出窓ベンチ                               

 

 

 

淡路島に建つ住宅の2階のホールに設けた出窓ベンチです。出窓ベンチからは淡路島の家並みや山並み、空が見え、反対側からはリビングの吹き抜けを介して淡路の海と空が見えます。寝転べるくらいのサイズがあるので寝転んで山や海の景色、風が運んでくる四季折々の緑や潮の香りに身をゆだねます。一日中いても飽きない心地良さです。心や五感に刺さる風景があれば必要になるかもしれない装備です。

 

いかがでしたか。

自分には要らないなと思う装備だったかもしれませんが、ここに住まわれているご家族にとって必要不可欠なものばかりでした。是非皆さんもお家をつくる時には、常識にとらわれることのない自由な発想でその家やご家族ならではの唯一無二な何か、を探してみるのも面白いかもしれません。そうすればきっとお家への愛情が一層湧くと思います。その時はその唯一無二な何か、の実現に向けて設計者が全力で向き合ってくれるはずです。

ではまた。

 

KADeL 西尾真一

関西 大阪 注文住宅 建築設計 建築家