<設計者コメント>
ワントーングレーに完全に統一した住宅建築です。
一般的に一邸の中には色々なトーンのグレーが使われていて、例えば外壁のグレーは内壁のグレーとは違うグレー、内装の巾木や窓台、建具など部材ごとに少し違うグレーが混ざり合うことになります。しかしK様邸ではそれらを極限まで統一したひとつだけのグレーにすることにこだわった建築であり、内外の壁の連続性もそれゆえ各段に上がっています。
特に中庭で内外連続性が顕著に感じられます。1階も2階も中庭を囲う高い塀のような外壁があり、内壁と見分けのつかない仕上りとなっています。
そこへ差し色として迎えた「チーク」がとても効いてきます。木部はチークに統一し、空間アクセントとなり温もりも与えられました。このチークの案は施主様ご夫妻から頂きました。そして外観に華を添えている空洞レンガの色はご子息様からの鶴の一声的なアイデアです。
施主様はこの高台の土地に一目惚れし購入されました。そして弊社設計施工で建築されたご親族様のご住宅へ幾年通われるうちに“私たちにとって「家」とはこのような建築”だと思うようになったと伺いました。見識があって思慮深いご夫妻にこのように選ばれ建築できる喜びを感じずにいられない、思い出深いK様邸です。