皆さん こんにちは建築設計事務所 KADeL黒瀬でございます
今回は 住宅建築における 光と影「陰翳礼讃」のお話しを私なりにしたいと思います
光と影の設計:居住者の五感を揺さぶる

30年にわたり住宅建築に携わる中で、私は、単に光を取り込むのではなく、影を設計することの重要性を確信してきました。
住宅における光と影の設計とは、単なる明るさの調整を超え、居住者の心に深く作用する体験の質を追求することに他なりません。
翳りの中に宿る美
明るい場所と暗い場所が生み出すコントラストは、空間に深遠な奥行きを与えます。影があるからこそ、差し込む光は一層輝きを増し、その存在感を主張します。これは、日本の伝統建築に古来より受け継がれてきた、光と影の「間」を愛でる美意識そのものです。
私たちが着目するのは、一瞬たりとも留まらない「生きている影」の多様性です。

・自然の詩: 障子の繊細な桟の影、あるいは、季節を映す庭の木々の葉が風に揺れて障子や壁に描く、一期一会の抽象画。
・構造のメッセージ: 組格子が壁に落とす麻の葉模様の幾何学的な影、床の間に置かれた香炉から立ち昇る煙が作り出す、はかない影。
これらは、日々の生活の中で絶えず変化し、居住者に語りかけます。
建築家の意図と時間の移ろい

設計においては、敢えて光を遮る収まりを追求し、影を意図的に空間に「忍ばせる」ことを考えます。影を消すことに注力する現代建築の潮流に対し、私たちは、日本人ならではの影への親密な感覚を大切にしたいのです。
住宅が竣工し、そこで人生の物語が始まってからも、四季を通じて光と影が織りなす静謐なドラマが、居住者をそっと包み込みます。それは、設計者から住む方への、「時が経つほどに味わいが増す美」というメッセージです。

この陰翳の設計こそが、長く住まう家において、日々の暮らしにささやかな感動と精神的な豊かさをもたらす、日本建築の真髄であると確信しています。


今回は 私なりの「陰翳礼讃」をテーマにお話しました。
いかがだったでしょうか?
お家づくりの参考になりましたら幸いです
お付き合いいただき ありがとうございました。
次回は 注文住宅で失敗しないために「引き算の美学」をテーマにお話しします。
建築ってほんとに良いものですね
それでは皆様 次回ブログでお会いしましょう!
KADeL 黒瀬信幸(副社長/建築家)
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