皆さんこんにちは建築設計事務所 KADeL黒瀬でございます
今回は 「縁側」のお話しを私なりにしたいと思います

住宅と庭は決して別個に存在するものではありません 環境共生住宅における「自然との調和」とは単に風景を借りることに留まらず庭を住宅の「第二の皮膚」と捉え内外の境界を曖昧にすることで生活空間そのものを自然と一体化させる思想です
それは外部空間の庭を設計することから始まります 季節の風の道筋を読み光の入り方を制御する植栽計画を立てる そして大きな開口部や連続した縁側のような中間領域を設けることで内部空間に自然の要素を深く引き込みます
この設計によって住まい手は視覚だけでなく風のささやきや雨の音、木々の香り、そして刻々と移り変わる光の移ろいを五感で感じ取ることができます 庭は単なる鑑賞の対象ではなく空気の質を整え夏の熱を和らげ冬の陽光を取り込む住まいの重要な機能体となります
自然との調和は建物の形や素材だけでなく暮らしのシークエンスそのものを豊かにします それは住まい手が自然と対話しながら日々の営みを行うこと 環境共生住宅とはそうした人と自然の関係性を再構築し暮らしそのものを芸術へと昇華させるための装置であるとKADeLは考えます
硬い話はそれぐらいにして今回は「縁側ぶっちゃけどうなん」と言うテーマなのでざっくばらんに ここからは話口調で書いていきたいと思います

春
陽光きらめく庭のひととき
春を迎えますと 庭の様子が一変いたします。植物たちが一斉に生命力を漲らせ、たくさんの蕾がほころび始めます。特にツツジやサツキが満開になると、それはもう見事な迫力で、庭中が鮮やかな色彩に包まれます。その頃には、小さなミツバチたちが、芳しい蜜を求めて忙しなく飛び交う姿もまた、心和む風景です。
鳥たちのさえずりと癒やし
そして、春は野鳥の訪れも多くなる季節です。我が家にもメジロやヒヨドリ、シジュウカラ、時にはウグイスが姿を見せてくれます。フルーツゼリーなどを置いてあげると、毎日律儀に食べに来てくれるんですよ。中でもメジロは本当に小さくて愛らしく、その澄んださえずりには、深い癒やしが感じられます。鳥たちの声に耳を澄ませる時間は、何にも代えがたいものです。
縁側で過ごす贅沢な時間
この季節の素晴らしいところは、まだ煩わしい虫が少ないこと。縁側は私のお気に入りの場所になります。お気に入りの椅子に腰掛けて、ゆったりと流れる時間を味わうのは、実に贅沢なひとときです。個人的には、特に清々しい朝に、本を読んだり、温かいコーヒーを淹れたり、時折遊びに来る猫と静かに語らいながら、くつろいでいます。
万物が目覚め、移り変わっていく春は、自然と心が開放的になりますので、ご家族との会話も自然と増え、コミュニケーションが深まる良い機会だと感じております。
夏
土庇がもたらす夏の快適さ
夏の縁側は、やはり格別ですね。大きく張り出した土庇(どびさし)が、実に良い仕事をしてくれます。日射角の高い夏の強い日差しをしっかりと遮って、涼しい日陰を作ってくれます 縁側にいてもとても過ごしやすいんです。
そのおかげで、室内にも直射日光が入らず、室内もまた涼しく快適に保たれています。日本の伝統的な建築の知恵には、いつも感心させられますね。
蝶と蝉が織りなす夏の風情
梅雨の時期になると、庭には色とりどりの蝶が舞い始めます。黄色や青の蝶がヒラヒラと舞う姿は、本当に綺麗で、目を楽しませてくれます。
そして、夏本番を迎えると、蝉が一斉に羽化して、庭がクマゼミでいっぱいになります。一本の木に七、八匹も止まっているので、庭全体では百匹ほどいるのではなないでしょうか。早朝から九時頃まで一斉に鳴き始める、あのエネルギッシュな大音量は、小さな体からどうやって出るのか不思議に感じてしまいます。
縁側での夏の過ごし方と対策
朝の時間は、さすがにあの賑やかさでは静かにくつろぐことはできませんが、だんだんと耳が慣れてくるものです。そうなると、心からリラックスとはいかなくても、縁側でゆっくりと過ごせるようになります。蝉の声は「夏が来たな」と感じさせてくれる強烈な風物詩ですね。
午後からは比較的静かになるので、夕涼みなどに縁側を利用しています。ただ、困るのはやはり蚊です。蚊取り線香や虫コナーズなどで対策をしても、どうしても刺されてしまいますね。一番効果的なのは虫除けスプレーだと分かってはいるのですが、毎日塗るとなると肌への負担やコストも気になり、結局、香りの良い蚊取り線香に頼ってしまいます。
そうした中でも、庭の植物たちは太陽の光を浴びて生き生きと、力強く、豊かに茂っている様子は素晴らしいものです。
個人的には、あの蚊さえいなくなってくれれば、夏の縁側は完璧なのですけれどね。(でも最近の夏は暑い)
秋
季節の移ろいと縁側の情趣
秋 この家の縁側は、何と言っても庭の大きな金木犀(きんもくせい)の芳香に包まれるのが魅力でございます。夏のような強い暑さもなく、朝夕には涼しさが訪れるため、自然と縁側へ出る頻度も増えていきます。
ただ、太陽の日射角が夏に比べてやや緩やかになるため、日中は縁側の上まで日差しが落ちるようになるのも、この季節の特徴ですね。お昼はまだ残暑が厳しく、直射日光の降り注ぐ縁側には出にくいものですから、もっぱら朝夕の涼しい時間帯をよく利用することになります。
やがて秋が深まると、日中も過ごしやすい快適な気候となり、蚊の姿も少なくなるため、縁側に出る機会がぐっと増えてきます。そして、夕刻になると響き渡る秋の虫たちの声が、非常に情緒深く、心から落ち着ける空間を作り出してくれます。猫にとっても過ごしやすいのでしょう、愛らしい姿を縁側で見せては、日向ぼっこをしたり、ぐっすりと眠ったりしている姿をよく見かけます。
一年を通して、最も縁側が活躍する季節と言えるのではないでしょうか。

私的な愉しみと癒しの時間
私自身の過ごし方としては、いつもの専用の椅子に腰掛け、蚊取り線香に火を点けます。心地よい香りと、そこから立ち上るゆらゆらとした煙を眺めながら、しばし何も考えずに庭を眺める時間が、何より好きです。
庭自体は静かで動きが少ないのですが、虫の音や天候の移ろい、そして時折訪れる鳥や蝶が、目を楽しませてくれます。しかし、一番の癒しは、縁側に遊びに来てくれる猫との語らいです。多い時には五匹ほど来ていたのですが、今は一匹だけ。名前は「ぶーちゃん」と呼んでいます。
縁側の椅子に座っていると、時間の流れが早く感じられ、頭の中がすっきりと整い、体調も良いように感じます。これも、庭の植物や日光がもたらす自然の恩恵なのでしょう。
庭との心地よい関係性
また、剪定鋏(せんていばさみ)を持って縁側を歩き、飛び出た枝葉を少し切る作業も心地よいものです。程よい達成感があり、愉しめるのですが、あまり熱中しすぎると疲れてしまうので、十分程度と決めています。
以前の住まいでは室内に籠りがちでしたが、この縁側があることで、外部との接続性が強まりました。そのおかげで、頻繁に縁側へ、そして庭へと向かうことが多くなりました。もちろん、家族も度々縁側に集い、各々が好きなように過ごしています。
近頃の住宅は、窓が少なく、庭のない箱のようなデザインが多いと聞きますが、私にはあまり魅力を感じません。自然の豊かさを室内に強烈に引き込み、外と内が中間領域である縁側によって曖昧になる空間の展開こそが、自然と外へ出たくなる、日本の建築が古来より大切にしてきた空間操作の術だと感じます。この豊かな環境の中で、日々を愉しみながら暮らしています。
冬
冬の庭と、縁側でのひととき
大阪では雪が深く積もることは稀ですが、冬の間に一度か二度は、庭先に白い雪が舞い降りてきます。あたり一面の銀世界とまではいきませんが、植栽の上に薄く積もる雪は、ひときわ美しく庭を彩ってくれます。
この時期になると、虫の気配はすっかりなくなり、縁側は使いやすくなりますが、やはり身を切るような寒さになりますね。ですから、縁側でゆったりと過ごす際は、暖かな防寒着を羽織り、椅子を出して座り、少しばかり暖を取る工夫が欠かせません。
私自身は、暖かく保たれた室内で火照った体を、縁側に出て少しクールダウンさせるような使い方を好んでいます。あるいは、分厚い防寒着に身を包み、冷たい空気で身を引き締めながら静かに過ごす時間も、また格別です。
この季節、太陽の日射角がおよそ 20°〜30°程と低くなりますので、日中は直射日光が縁側はもちろんのこと、リビングやダイニングキッチンの奥まで、部屋の隅々まで深く差し込みます。床が温められ、まさに天然の床暖房のようになるのがありがたいですね。おかげで日中の暖房費は少し抑えられますが、夜になるとさすがに陽光の恩恵を受けられなくなりますので、ストーブなどを使いながら室内を温めることになります。
庭に彩りを添える花と野鳥
我が家では、ちょうど冬に山茶花(サザンカ)が満開を迎えます。真白い大きな花、あるいは可愛らしいピンク色の大きな花が、庭のあちこちで咲き誇り、その美しさは二月下旬頃まで続きます。ですから、お正月にはこの満開のサザンカを愛でることができ、もし雪がうまく降ってくれれば、雪化粧をした姿が、本当にお正月に華やかな彩りを添えてくれます。
また、餌が少なくなった野鳥たちが食べ物を探しに庭を訪れるようになります。毎年必ず来てくれるのは、メジロの仲の良い夫婦です。お正月にミカンを庭先に置いておくと、その夫婦が毎日、仲睦まじくついばみにやってきてくれるのが、冬の縁側での小さな楽しみです。
夜

昼と夜 縁側がある庭の魅力
ライトアップされた夜の庭も幻想的で素敵ですが、個人的には、やはり昼間の庭の迫力や、木々の色艶が鮮やかに見える様子の方が、ぐっと心惹かれますね。生命力の塊のような、ものすごい雰囲気が出るものです。
眺望と照明の工夫
リビングやダイニングからの眺めは、本当に美しく、縁側がその室内空間と庭とを、とても上手に繋いでくれています。
夜間にこの眺望を最大限に楽しむための工夫ですが、室内を明るくしすぎると、どうしても窓ガラスに部屋の様子が映り込んでしまい、せっかくの庭のライトアップが見えにくくなってしまいます。
ですから、リビングやダイニングの照明は調光式にして、明るさを細かく調節できるようにしておくと良いでしょう。こうすることで、室内と庭の明るさのバランスが合い、庭が格段に美しく見えてくるのです。
それともう一点、窓ガラスの近くに設置する照明器具は、グレアレス(眩しさを抑えたもの)を選ぶことをお勧めいたします。グレアレスにすることで、ガラスへの反射も少なくなり、眺望がさらに美しく見え、夜の雰囲気が一段と上質になるんですよ。
自宅にいながらにして、まるで高級なホテルにいるかのような、洗練された空間が生まれるのですから、照明計画は大切にしたいものですね。
まとめ
縁側が生み出す暮らしの豊かさ
一年を通して縁側を使ってみて、改めて感じたことなのですが、やはり「縁側」というのは、単なる通路ではなく、室内と庭を繋ぐ、非常に大切な「中間領域」なのだと実感いたしました。
個人的な感想ですが、縁側は絶対にあった方が、日々の生活が豊かになる装置だと思います。家と外との間にこの中間領域があることで、自然と「外へ出てみようかなー」という気持ちになるんですよね。
五感に響く小宇宙
一歩外へ出れば、季節の香り、心地よい風、色鮮やかに移り変わる庭の様子、そして集まる野鳥や昆虫たちの姿。虫の音や、さまざまな自然の音色が、私たちの五感に触れてくるのです。縁側は、本当に豊かな生活を実現するための「装置」として機能しているように思います。
ちなみに、私の家の縁側は南向きですので、太陽の光の角度が夏と冬で大きく変わることをうまく利用しています。角度に合わせて土庇(どびさし)を調整して設計することで、夏の強い日差しは遮り、冬の暖かい日差しは室内に取り込む。自然の摂理を味方につけて、この中間領域である縁側と土庇がうまく機能し、居間と庭とを繋いで、私たちだけの小宇宙を出現させてくれるのです。
昔の日本人の知恵
これからお家づくりをされる皆様には、縁側のある暮らしを強くお勧めしたいですね。生活が、そして人生が、さらにご家族の関係が豊かになる、昔の日本人が考えた素晴らしい装置、それが「縁側」なのだと、心からそう思っています。
「縁側」が織りなす暮らしの芸術
縁側と庭は単なる建物の付属物ではなく、「住宅の第二の皮膚」として、人と自然との関係性を再構築する装置であると強く感じられます。
春の生命力、土庇に守られた夏の涼、金木犀香る秋の情緒、そして冬の暖かな陽光。四季を通じて、縁側は庭という自然の要素を室内へ深く引き込みます。お気に入りの椅子で過ごす静かな時間や、愛らしい猫「ぶーちゃん」との語らい、野鳥のさえずりは、五感に訴えかける豊かな癒しです。
現代建築では失われがちな内と外を曖昧にするこの空間操作術こそが、住まい手が自然と対話し、「外へ出てみよう」という気持ちにさせてくれます。縁側は、昔ながらの日本人の知恵が詰まった、暮らしそのものを芸術へと昇華させるための場所であると改めて実感いたしました。
今回は 私なりの「縁側」をテーマにお話しました
いかがだったでしょうか?
お家づくりの参考になりましたら幸いです
お付き合いいただき ありがとうございました
次回は 足るを知る簡素な暮らし「清貧」をテーマにお話しします
建築ってほんとに良いものですね
それでは皆様 次回ブログでお会いしましょう
KADeL 黒瀬信幸(副社長/建築家)
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