建築設計事務所KADeL

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【住宅の豆知識】お家の外観はとても大事です
公開日
2024-11-26 09:00

住宅のみならず建築物にとって、外観はとても大事だと考えています。

 

外観には設計コンセプトが反映されます。設計コンセプトには、その住宅に住まわれるご家族の想いや価値観、周辺環境や街並みとの関係性、家族と家族以外の他者との繋がり方、地域性、歴史、気候風土など様々な事柄が含まれます。というか、含まれるべきだと考えます。

 

 

例えば南国っぽい家とか、和風のお家とか、装飾がたくさんあって高そうなお家とか、これらも全て施主や設計者の趣向や思想があって成立しているものです。建売住宅や規格型住宅であっても外観が勝手に完成することはなく、営業や設計担当者、デザイナーなど仕様、素材、色を考える方の意思によって創り出されています。

 

個人的には、デザインを考えた方の思想や意思が感じられる外観に良い印象を感じます。デザインの好みや優劣ではなく、考えた方の思想や意思が感じられるかが私にとっては大事です。

 

私たち設計者は住宅を設計するときには間取り構成を考えながら同時に外観デザインを考えます。設計前のヒアリングによって施主様の想いや価値観を理解し、そこに設計者の思想を重ね合わせながら外観を検討していきます。

 

 

戸建て住宅の多くは平屋、2階建て、3階建てに分類されます。全ての住宅には外壁、屋根、窓があり、これらを組み合わせながら建物の外観を形成していきます。そしてこれらの組み合わせによって、外観には大きな可能性が生まれ施主や設計者の思想を反映する事ができるのです。

 

今回はそんな想いや価値観を反映した外観を持つ住宅をご紹介いたします。

 

個性的なお家に住みたい  K様邸                               

 

 

3階建て住宅の概念とは趣きの異なる外観です。しかも木造です。施主様からの「今まで見たことの無いような個性的なお家に住みたい」という一言から生まれたお家です。施主様はもともとこの地に住まわれておりご近所さんとも顔なじみですが、ご近所の方々もこの外観には驚いておられました。ポイントは丸窓×2の配置と奥に見えるグランドピアノです。3階建てに見えない、木造にも見えない、住宅にも見えないですが木造住宅です。施主様も大変満足されておられました。

 

たとえ敷地間口が狭くても  S様邸                            

 

 

間口3mの土地に建つ3階建て住宅です。施主様からの「都会的で洗練された外観の家に住みたい」というリクエストを突き詰め、都市に棲む力強さを外観に落とし込んでいます。オレンジの電球が硬質な外観に心地良いアクセントを与えています。わずか2.7mの横幅の家ですが、このボリュームでこそ成立する圧倒的に力強い外観になりました。

 

S邸からの  A様邸                              

 

 

先程のS様邸と同じ敷地間口3m、建物間口2.7mのお家です。S様邸をご覧になられたA様が同サイズの敷地をご購入、建築しました。S様邸とほぼ同じボリュームの建物ですが、こちらは施主様の好みや周辺環境との調和を考慮して、ベージュのガルバリウム鋼板と木調のサイディングを用いて存在感がありながら威圧感のない佇まいにしています。S様とは家族構成が異なるため間取りは全く異なります。

 

山間の集落に根を張る  O様邸                               

 

 

和歌山県紀美野町のとある山間、周囲には数軒しかお家が建っていない小さな集落に建つ平屋住宅です。周囲の山並みと呼応するように立体的な屋根構成にしています。山の緑と濃紺色の建物がそれぞれを引き立てあいながら、時には風景に溶け込むような落ち着いた建築になっています。施主様にも大変気に入っていただき、将来は町おこしの一環としてこれをベースにした量産型の町営住宅を建てるのが夢と仰っておられました。

 

いかがでしたか。

個性的な外観の家が良くてそうではない家が良くないという事ではありません。大切なのはそこに住まわれるご家族の想いが反映された、愛着の湧くお家を創り上げるために徹底的に考え抜く事だと思っています。

そんなことを考えながら、私たち設計者は今日も明日も明後日も住宅を設計していくのです。

ではまた。

 

KADeL 西尾真一

関西 大阪 注文住宅 建築設計 建築家