スカイライト
(天窓)
リビング上部に天窓を設置することで、家中に溜まった熱気を効率よく排出することができます。
土壁の家 四賞 受賞
土
壁
の
家
四
賞
受
賞
デザイン監修 黒瀬信幸 / 設計 秋山かず子
「住」がただ道具や器ではなく、
体験を愉しむことができる舞台になれる建築。
それは建て主の未来を変えていきます。
作品写真
第11回2023 K-P(KAIDAN PHOTO)GRAND PRIX AWARD
最優秀賞受賞
風があまり吹いていない日でも自然の力を使って、夏の熱気や住宅内で発生する
人と家電の熱を効率よく外部に排出するための工夫です。
リビング上部に天窓を設置することで、家中に溜まった熱気を効率よく排出することができます。
吹抜の高低差によって室内に上昇気流が発生します。
この上昇気流が1階で発生した熱を引き込み、天窓を通して熱気を排出します。
天窓から室内の熱気や臭気を排出し庭からの新鮮な空気を取り込みます。
夏に庭に雨が降ったり、打ち水をしたりすると、水が蒸発するときに周りの熱を奪い(気化熱)、上昇気流が発生します。
この上昇気流が室内の熱を引き込み、室内に溜まった暑い空気を排出する空気の流れを生み出します。
夏の暑さを和らげる風の流れを住宅に取り込むための工夫です。
地域による風向きの違いを考慮して生活の中に自然の風を取り入れるための工夫をしています。
特に大阪では年中、偏西風の影響により西風が吹くため、それを取り入れることが出来るように設計しています。
風向きに合わせて縦滑り出し窓の開き方を調整することで建物の横を通り抜けていくだけの風を室内に取り込むことができます。
風を取り込むために入口だけでなく出口をつくり、風の通り道を計画しています。
西側から取り込んだ風がそれ以外の大きな窓へと吹き抜けていきます。
和室の壁には欄間を設けています。
欄間を設けることで風の通り道ができ、空気がこもることがありません。
KADeL独自の空気循環システム「エコエア」は冷気と暖気の入れ替えシステムです。
夏の強い日差しを受けて熱気が溜まった屋根裏に、床下の冷気を送り込み、屋根裏の熱気を強制的に排出することで、室温の上昇を抑えます。
庇の長さを調整しているので、夏の高い角度からの強い日差しの影響を抑えます。
屋根裏に溜まった熱気がエコエアによって運ばれてきた冷気に押し出されて屋根の一番高いところ(棟)から排出されていきます。
外壁内に通気層を確保し湿気を排出する工法を採用しています。木材等を常に乾燥した状態に保ち、建物の耐久性・耐震性を長期的に維持することができます。さらに、夏場に強い日差しを受けて外壁内に溜まった熱を通気層を通して排出し続け夏場の室内を快適に保ちます。
南側の庭に植栽をすることで、直射光をやわらげ、庭に木陰を作ります。
高いところに溜まった暖気を断熱パイプを通して足元に運び、室内の温度ムラをなくすことで、空調ロスを軽減します。さらに室内の空気を循環させて有効利用しているので、冬の乾燥した空気の侵入を防ぐことで、室内の湿度を常に快適帯(40~60%)に保つことにもつながります。
庇夏の強い日差しとは反対に冬の低い角度からの太陽光は庇の下を抜けて室内いっぱいに届きます。
冬になると葉を落とすので、太陽光を遮ることなく、太陽の熱を十分に室内まで取り込むことができます。
家中に自然光を取り込むことが出来るように計画しています。
Low-Eガラスとはペアガラスに金属膜加工を施した特殊なガラスのことです。必要に応じて窓ガラスにLow-Eガラスを採用することで夏場の強い太陽熱と紫外線を制限しながら、自然光を取り込むことができます。
大開口では季節によって取り込む太陽光の量を調整します。
植栽によって強い日差しをやわらげ、庇に簾をつけることで直射光を遮りながら、やわらかい拡散光を室内に取り込むことができます。
冬になると植栽の葉が落ち、簾を取り外せば、太陽光をたっぷり取り込むことができます。
内部の壁を白くすることで室内をより明るくすることができます。白い壁が取り込んだ光を拡散させるので、部屋の奥まで自然光が広がります。
冬場はあたたかな陽気をたっぷりと取り入れ、夏場は内側にあるシェードが日除けとなって、明るさだけを届けます。
太陽からの直射光ではなく、天空光を取り込むことができます。そのため、西側の開口部からは常におだやかで安定した自然の光を得ることができます。
太陽光が地上に届くまでの間に空気中のチリや雲などにあたって拡散され、その拡散光のうちで地上に到達するものを天空光と言います。
曇りの日に太陽が遮られても、方位に関係なく空全体が明るく感じられるのは、この天空光のおかげです。
自然環境を取り込んだだけでは快適な住宅とは言えません。自然環境を取り込みつつ快適で暮らしやすい家となるように、視線と動線を計画しています。
外部からの視線は遮断しつつ、内部ではすこしでも遠くまで視界が広がるように設計することで、プライバシーを確保しながらも空間の大きな広がりを感じられるように計画しています。
外部からの視線が室内まで届くことはなく、内部のプライバシーは確保されています。
室内だけでなく、庭まで視界が広がることで空間の大きな広がりを感じることができます。
前の道路または隣家からの視線を完全に遮断して、内部のプライバシーを確保します。
植栽で周辺からの視線を遮断します。冬場に植栽の葉が落ちると、必要に応じて簾を下ろすことで周辺からの視線を調整することも可能です。
くつろぎの空間と家事の空間を明確に分割することで、それぞれが快適に過ごすことができるような動線を設計しています。
空気の流れを設計することによって、住宅の敵である湿度や食事やペットの臭いなどの生活臭を住宅の外へと追い出すことができるように計画をしています。
水回りからは湿気、LDKや玄関からは臭気が常に発生しますが、速やかに排出を促す設計です。
子供たちが独立した後、夫婦2人で1階だけで平屋のような生活を送ることができるように設計しています。
畳下収納や押入に布団や衣類、小物類を収納することができるので、和室を夫婦の寝室として使用することができます。
2階にバルコニーを設けるのではなく、1階に物干しスペースを設けることで、家事もすべて1階で行うことができます。
存在感のあるこの階段はまず玄関に踏み入ると遠く目に映る様に置かれています。近づくと想像力を使って色々な用途に変化するようにと考えています。
本を読んだり、寛いだり、お気に入りのものを飾ったり、、、小さな子どもたちの制作物のギャラリーとして、ときにはコミュニケーションの中心として波紋の様に広がります。使う方の想像力で様々な用途に変化する、そんなたまり場のような階段です。そして1階から2階へ高低差のある空間を接続する装置として存在しています。2階のサブリビングからも1階へと気配を感じ、コミュニケーションが図れ、一体感をもたらしてくれます。一見、無駄とも思えるものを挿入することで暮らしに様々な刺激を与えてくれます。この余白で住む方の想像力をかきたててもらえれば幸いです。
「想像の階段」デザイン監修:黒瀬信幸
第11回2023 K-P(KAIDAN PHOTO)GRAND PRIX AWARD
最優秀賞受賞
”石庭”は視覚的に静寂な庭となります。リビングをゆったりと落ち着いた気持ちにさせてくれる心に働きかける設計です。室内外の高さを揃える構造的工夫でリビングと庭の間に段差のない連続性と広がりを生んでいます。
”デッキと芝生の庭“は活動的な庭となります。庭に2つのエリアを設けて、屋内→半外→外と、にじむように空間が移ろうようにしています。思わず外へと誘われる心理的効果があります。
テラス・ダイニング。外でする食事は、肌に触れる空気や植物の匂い・虫の音や木漏れ日の眩しさ・空の色…五感が刺激されて食事がより美味しく感じられる豊かな方法です。
”離れ”のような配置で客間として使用でき、収納もたっぷりできるため寝室としても使用できます。2Fを使わずに1Fだけの平屋として生活することも可能です。また、将来的に介護スペースとしても使えます。
”土壁”のような壁面をつくり道路面からの音や視線からプライバシーを守っています。
”デッキと芝生の庭“は活動的な庭となります。庭に2つのエリアを設けて、室内→ウッドデッキ→庭のレベルを揃えることで、内と外の境界を曖昧にし室内と庭が心地よく接続する様にしています。
「フラットな庭」デザイン監修:黒瀬信幸
連続するトップライトを約30度の屋根傾斜に取付けることで冬の太陽光を全面に受けることのできる角度とし冬の暖かさを目一杯取り入れられるようにしました。夏は内部開閉型のシェードを組み込んで、日射遮蔽で室内の温度上昇を抑えることができます。また、電動開閉式天窓とし、湿気排出や新鮮空気への入れ替えが瞬時に可能となります。
セカンドリビングとメインリビングを緩やかにつないでおり、セカンドリビングへ広さと明るさを供給する装置となっています。板張りの勾配天井が目近にあって、自然材のもつ温もりやゆらぎが心穏やかにしてくれます。
家族のセカンド・リビングとして設計。例えば昼間はリモートワーク・オフィスとして、また子供と友達の専用リビングとして使用できます。また夜は主寝室の延長としてラウンジ的に使えます。
ガラス戸で間仕切ることでセカンド・リビングを続き間と捉え、広く感じるようにしています。
大きな一部屋として、または2部屋として使用したり、家族構成や用途に応じて可変性をもたせた設計です。