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パッシブデザインの話
「環境共生住宅」 ~自然に寄り添う住まい方~
高性能な建築材料を用いることで住宅の断熱性能を向上させることはもちろんですが、
弊社が設計上積極的に導入していることが「環境共生住宅(パッシブデザイン)」の考え方です。

近年は高性能な設備機器を用いた、建物と自然環境とを切り離した家づくりが主流になっていました。
しかし、東日本大震災の経験以降、エネルギー供給が必要不可欠な設備機器に依存する住まいに対する見方が変化し、
設備機器に頼らずに自然の力を効果的に活用することで、快適な室内環境をつくりだす住まいが注目されるようになってきています。
それが住まいの新しいあり方「環境共生住宅(パッシブデザイン)」です。

パッシブデザインとは?
パッシブデザインとは、設備機器に依存することなく、建物の構造や材料などの工夫や建築を取り巻く外的な環境である「太陽・風・空気・熱( 暑さ、寒さ)」を建物内に取り入れて、熱や空気の流れを建築的に制御し、快適な室内環境をつくりだす設計思想・設計手法のことを言います。
住宅における省エネルギーの手法は、「建築構造による手法」と「設備機器による手法」があり、パッシブデザインは「建築構造による手法」にあたります。具体的には、外壁や扉・窓から熱の侵入を防ぐこと(断熱)と窓から侵入する日射を遮ること(日射遮蔽)などがあります。弊社では各手法をうまく取り入れることで、環境との共生を目指しています。
世界的な省エネ化の推進
現在、地球温暖化や化石エネルギー資源の枯渇という問題が表面化しています。地球温暖化の原因といわれているCO2 の排出量削減に関して、住宅を始めとした建築物は、まだまだ対応が遅れているのが現状です。また、世界の経済成長に伴い、エネルギー消費量は大幅に増加しています。現在の消費ペースを前提とすると、石油の供給可能年数は約40 年しかないといわれています。今後、長期的な視点に立って、住宅の省エネルギー化に取り組んでいく必要があります。

白い箱の家にするわけ
弊社がご提案する住宅のファサード(外観)デザインは、白のキューブ型をベースにしています。キューブ型住宅は、同じ大きさであれば凹凸のある建物に比べて外壁面が少なくて済み、コスト面でメリットがあることはよく言われていますが、この外壁面の少なさは、実は住宅内部の温熱環境の向上にも影響を与えています。

白いキューブ型住宅は外壁面が小さいので、夏の暑い陽射しが当たる面積を最小限に抑え、さらに熱反射率の高い白い外壁で熱射をカットできます。しかも冬場は、冷たい風が当たる外壁部分が最小限に抑えられるので、熱損失(住まいの中を暖めても、外壁に冷たい風が当たるために室内温度が下がること)を防ぐこともできます。これが弊社の考える、パッシブデザインの観点から捉えた白いキューブ型住宅の大きなメリットです。
省エネは健康にも家計にも優しい
パッシブデザインに取り組むということは、地球環境のためだけではありません。身近な健康面や経済面に関しても非常に効果的です。例えばヒートショックと呼ばれる室内(主に浴室)での急激な温度差により死亡する方は、交通事故の2倍以上いると推定されています。断熱性能が高いパッシブデザイン住宅では、部屋間の温度差が小さくなりますのでヒートショックの心配もありません。さらに、冷暖房にかかるエネルギーを大幅に削減できるので、家計の負担軽減にもつながります。住宅の省エネルギー化による経済効果はもちろん、快適性や健康面でもメリットのあるパッシブデザイン。これが、弊社が積極的に取り組んでいる住まいづくりの原点です。

あたたかさの質を高める
人が感じる暑い、寒いといった感覚はエアコンなどで調整された室温だけで決まるものではなく、壁や床の表面温度からも大きく影響を受けています。十分に断熱されていない住宅の場合、壁や床から熱が奪われて体感温度が4℃近くも下がります。足元も冷えやすくなり、天井付近と比べて10℃以上の温度差がでることもあります。

それに対し、十分に断熱された住宅の場合、暖房をしていない部屋の温度も自然と高める効果があるので、リビングなどの部屋と暖房設備のない浴室やトイレなどの空間との温度差が小さくなります。弊社では、より少ないエネルギーで快適な温熱環境を得られる高断熱住宅にすることで、あたたかさの質を高める住まいづくりをご提案します。
光を取り入れ、視線を遮る心地よい窓
太陽は季節によってその動きや高度が異なります。また隣家状況などの周辺環境によっても計画建物の日射条件は変わります。弊社では太陽高度の変化はもちろん、隣家の形状や高さなども考慮しながら、自然光が効率よく室内まで届く開口部計画を行います。それは単純に自然光を直接取り込むだけのための開口部計画ではなく、隣家や道路からのプライバシーにも配慮した計画です。プライバシーが確保しにくい住宅密集地などでは、独立壁や坪庭、中庭などを活用することで外部からの視線をしっかりと遮りながら、心地良い柔らかな反射光を室内へと取り込んでいます。

陽射しを操る軒・庇・落葉樹
軒(のき)や庇(ひさし)はパッシブデザインを考える上で重要な要素です。季節によって異なる太陽高度や動き、その計画地の日射状況をしっかりと把握することで、夏には強い陽射しを遮り、冬には心地良い陽射しを室内の奥まで取り入れることができる軒や庇をご提案します。もちろん庇の大きさや軒の幅・高さなどは、軒や庇を設置する方位、開口部の大きさなどに応じて、ひとつひとつ計画しています。

また、植栽によっても陽射しをコントロールできます。例えば、落葉樹(イロハモミジなど)は冬場には、葉が落ちることで太陽光が入りやすくなりますし、夏場はこれに葉がつくことで暑い陽射しを遮ってくれます。

家の中に優しい風の通り道をつくる
<風力換気>
太陽光と同様に、通風環境も地域や周辺環境によって異なります。特に大阪はその地域特性として、偏西風が年中通してよく吹くといわれています。この偏西風をウィンドキャッチャーによって効果的に室内へ取り込むことで、夏でも心地良い風が室内を通り抜け、冬には短時間で効率良く換気ができる風の通り道を、住まいの中につくりだします。

<温度差換気(重力換気)>
住宅内部に吹抜けを設けることによって、夏の暑い空気を吹抜け上部から外部へ排出し、1階に設けた窓から外の空気が家の中へと入ってくる、温度差換気(重力換気)による風の動きを住宅内部に生み出しています。この温度差換気による空気の動きを生み出す手法は、住宅密集地など立地条件によって通風があまり期待できない計画地でも効果的に機能します。住宅密集地などでは、プランニングの段階で京都の町家を応用した坪庭や独立壁で囲われた中庭を設け、そこに打ち水をしたり、独立壁を日射で暖めたりすることによって、外部空間で空気の流れを生み出し、開け放った窓から内部の空気を強制的に外部へ引っ張り出すことで室内に風の流れを生み出す、住宅全体が風を生み出す大きな装置として捉えた計画もご提案しています。

このような風を生み出す設計手法を用いた住宅のご提案は、設計者が実際に計画地に赴き、計画地での風の向きや吹き方、時間ごとに異なる風の変化を身体( からだ) で感じ的確に捉えることで、はじめて可能になります。

住まい勝手のよい動線計画
<風力換気>
パッシブデザインとは別に、動線計画もとても大切な要素です。左の図ではキッチンのまわりをぐるっと回れる回遊型の家事動線を計画することで、効率的に家事をこなせるようになっています。また、建物の内と外に大きな卵型の生活動線を2つ計画することにより、居間や庭に自然と家族が集まり寛げる様、計画しております。ご家族の家事動線と生活動線を明確に分けることで、家内事故を防ぎ、より快適に過ごせます。いい住まいの間取りは、動線をできるだけ効率よく、異なる動線が交錯しないようにすることが重要です。弊社では、ご家族ごとのライフスタイルに合った機能的な家事動線や生活動線をご提案いたします。

空気循環システム「エコエア」
弊社では、地熱と吹抜けを利用したKADeL オリジナル空気循環システム「エコエア」を標準採用しています。

弊社では吹抜けのある住宅を積極的にご提案していますが、これは空間の広がりや自然光の確保など意匠上の理由だけでなく、冬場の室内環境向上に大きなメリットがあるためです。吹抜けがあるプランでは、冬場の暖房効率のことがどうしても気になります。それはお部屋を暖房しても、その暖かい空気が吹抜けの上部へと逃げてしまうからです。しかも、吹抜けの上部には窓から入った日射による暖かい空気もあります。実にもったいない話です。エコエアは、一般住宅では使い道のなかった吹抜け上部にたまったこのような暖かい空気を室内に設けたダクトで、お部屋全体に循環させ、空調のロスを最小限に抑えます。これにより、エアコンの使用を控えても暖かさが得られるため、環境にも優しく、経済効果も抜群です。

一方夏場は、冬の地熱で冷やされた一階床下の20℃~25℃の冷たい空気を、エコエアダクトの中を伝って屋根裏まで持ち上げ、屋根裏にたまった熱い空気を強制的に外部に排出することで住まい全体の温度上昇を抑えます。冬場と同じく、エアコンの使用を控えても快適に過ごすことができるように

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